第三者意見

ミネベアグループCSRレポートを拝読して

画像:株式会社日本政策投資銀行 環境・CSR部長 竹ケ原 啓介氏ミネベアグループCSRレポート2016は、ESGの各分野をバランスよく、かつ詳細に記述するこれまでのスタイルを踏襲しつつ、内容面では、貴社CSRの更なる前進をしっかりと伝えています。今回の変化のポイントは、巻頭のトップコミットメントに端的に示されています。まず、経営の基本方針として、貴社のCSRを規定していた「五つの心得」が社是に格上げされ、ステークホルダーの期待を反映した価値創造を、グループを挙げて追求していく姿勢が明確に打ち出されました。これを受けて、海外拠点を含むグループ全体でCSR戦略を進めるための体制整備と、ステークホルダーとの直接対話という、報告書を通底する2つの主題が浮かび上がります。

グループ横断的な体制強化の取り組みは、中国・上海ミネベアでの取り組みを紹介する巻頭特集により、貴社を語る際のキーワードでもあるグローバル化に絡めて具体的に例示されています。しかし、貴社の凄みは、中国拠点でのCSR調達調査が示すように、CSR体制強化の一環として広くサプライチェーンまで見据えている点に求めるべきでしょう。海外拠点におけるサプライチェーン管理は、CSRのバウンダリーを考える上で重要なテーマながら、わが国では、まだ情報開示例も少ないだけに、印象的なコンテンツです。

ステークホルダーとの直接対話を重視する姿勢は、昨年の米子工場に続いて浜松工場で行われた対話にみられるように、「地域」を対象に着実に深まっているほか、今号では、「従業員」に対してより顕著になりました。上海やグローバル人材の事例紹介で具体的に示されている、ダイバーシティや人材育成、働きやすさ(ワークライフバランス、健康管理)など多岐にわたる取り組みを、離職率や時間外労働などの関連データと合わせて開示している点は、「従業員が誇りを持てる会社でなければならない」と定める五つの心得を文字通り体現しているように思います。

また、環境面では、増収基調のなかグループ全体のCO2排出量を対前年比で総量で5%、生産高原単位で23%減少させるなど、デカップリングが実現されています。先行してグループ横断的に運用されているEMSが機能し、着実に成果を上げている事実は、CSRのグループ展開の今後を占う上での好材料といえましょう。

一方、今後については、研究開発や技術力に関する記載の一層充実を求めたいと思います。経営統合によるプロダクトポートフォリオの変化を控えることに加え、成長戦略ともいうべき新「5本の矢」戦略や、CSR活動方針に掲げる「製品を通じた社会価値の創造」を体現し、貴社の特徴を最もよく示してくれる情報と考えられるためです。

ESG:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったもの

バウンダリー:組織の影響が発生する範囲

デカップリング
一定の経済成長や便利さを維持しつつも、エネルギー消費を減らしていく、両者を「切り離す」という考え方

EMS:Environmental Management Systemの略。環境マネジメントシステム

竹ケ原 啓介氏

一橋大学法学部卒業後、日本開発銀行(現株式会社日本政策投資銀行)に入行。調査部や政策企画部、フランクフルト首席駐在員、環境・CSR部長等を経て、現職。その他、環境省「環境格付融資に関する課題等検討会」委員、「環境成長エンジン研究会」委員、内閣官房「環境未来都市推進委員会」委員、内閣府「環境未来都市推進ボード実施推進会議」委員などを務める。

第三者意見をいただいて

画像:常務執行役員 財務・コンプライアンス推進部門 CSR推進室、コンプライアンス推進室担当 松田 達夫竹ケ原様には本年度も大変貴重なご意見を賜り、まことにありがとうございます。当社グループのCSRへの取り組みの前進を評価いただき、大変うれしく思っております。

本年度のレポートでは、2つの特集記事として、電子機器製造本部の開発拠点である浜松工場周辺地域の皆様との対話、および中国・上海ミネベアでのCSR活動を掲載しました。上海ミネベアの従業員や地域社会とのかかわり、および環境への取り組みは当社グループの社是「五つの心得」を体現する活動ではないかと思っています。

社会性報告のCSR調達に関する中国での取り組みの開示については、高い評価をいただきました。これに満足することなく今後もグローバルでのサプライチェーンの管理に取り組んでまいります。

ご指摘をいただきました研究開発や技術力についての記載は、次回のレポート以降で充実させていく所存です。また、2015年度CSR目標の未達成のものについては、今年度以降の課題と認識しており、改善の取り組みを続けてまいります。

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